

秋分|9月23日
昼と夜がつり合う日の朝


撮影日 9月23日、秋分当日。
午前5時00分、起床。
普段はアラームを使わないのですが、撮影の日は毎回アラームを使っています。
毎回、焦りと驚きと不快感には慣れないものです。
ですが、顔を洗っていつもの場所へ向かいました。
秋分は、昼と夜の長さがほぼ同じになり、この日を境に少しずつ夜の時間が長くなっていきます。
春分から続いてきた明るい時間はここで一区切りを迎え、これからは夕暮れが早まり、朝の光もゆっくりと訪れるようになります。

田んぼを見渡すと、稲穂はすっかり黄金色に色づき、風に揺れていました。
その揺れはまるで波のようで、一面に広がる光景を見ていると、自然のリズムに自分の呼吸まで重なっていくような気がします。
まだ草の緑も残っていて、黄と緑が混ざり合う田園は、まさに夏と秋が同居しているようです。
空を見上げれば、秋らしい雲がゆっくりと流れ、羊雲のかけらが淡い光をまといながら形を変えていきます。
同じ空には二度と会えないんだなぁと思うと、何気ない今日の空も特別な出会いのように感じられますね。
この場所では、夜のほうが虫の声がいっそう賑やかになります。
調べてみると、やはり秋の虫は夜行性が多いようですね。
人間でいえばバンドマンのように、日が落ちると活動が始まり、リンリンと鳴き交わす声が田畑に満ちていきます。
少し耳を澄ますと、それぞれの虫の音が重なり合って小さなブラスバンドのよう。
自然が奏でる音楽は、スピーカー越しでは味わえない立体感と温度を持っています。
白鷺が稲穂の上を舞うと、ついドローンで追いかけて写真に収めたくなります。
黄金色の田んぼを優雅に横切る姿は、きっと絵になるだろうなと思うのです。
──ドローンないんだけどね。



さて、朝晩の空気は少しずつ冷たさを帯び、半袖では肌寒さを覚えるようになりました。
けれどその涼しさは、夏の余韻を静かに締めくくり、次の季節への入口を開いてくれているように思います。
これからの季節、寒さは増していきますが、いまはこの心地よい気候をたっぷりと味わいたいものです。
行楽の季節。公園や山へ出かけて秋を楽しむのも良いでしょう。
けれど、ときには立ち止まり、移りゆく時間そのものに身をゆだねてみるのも素敵な過ごし方かもしれません。
どうぞ、穏やかな秋分の日をお過ごしください。
季節は、ただ静かに巡っていく。
その流れの中で、また少し、わたしも動いていけたらと思います。
それでは、また次の季節でお会いしましょう。




