立春|2月3日

ほんの少し、春の入口で

撮影日2025年2月3日、立春。
この日の夜明けは、6時50分頃。
少し寝坊しても、まだ間に合う時間。
外に出ると、空はすでにぼんやり明るくなりはじめていて、
東の端っこから、うっすら光がにじみ出していた。

寒さは相変わらずだけど、どこか「いつもの冬」とは違う。
手袋を外しても、指先がギリギリ泣かずにすむくらいの冷たさ。
うん、ギリッギリ大丈夫!

空の色も、少しずつ変わっていく。
深い藍から、ほんのり紫っぽくなって、
そのうえにオレンジの帯がすっと走ってる。
まるで、長かった夜が「そろそろ帰るわ」と言っているみたいだった。
若い頃に友だちと明け方まで話してた頃を少し思い出す。
何を話していたのかも思い出せないけど、毎日毎日飽きることもなく夜通し共にした時間。

無駄でした。

嘘です。そんな時間を過ごせたから今があるんだな。
そんなふうに思う余裕も出てきました。

音もない静けさのなかで、ひとり立っていると、
「いま、冬と春のちょうど真ん中にいるのかも」と思えてくる。

ただの立春なのに、なんだかちょっと特別なことをしてる気分になるから不思議。

田んぼには大きな変化はない。

でも、草の色が心なしか濃くなってる……気がしないでもない。
「そろそろ出番やぞ」「え、もう?」「まだ外冷たいって」みたいなやり取りが
地面の下で、開かれてるんだろうか。

風が頬をかすめていくとき、ふわっと鼻に届いたのは、
冬のそれとはちょっと違う匂い。
言葉にはしづらいけど、「あ、これ春の手前のやつだ」ってやつ。な気がする。
うん。きっとそう。そうしておこう。
今日わたしは、春を感じた。

そういうのを感じられる日は、やっぱり外に出てよかったなと思う。

カメラに収めた空のグラデーションを見返しながら、
「立春って、案外ちゃんと“始まり”だったんだな」と思えてくる。


春はまだまだ遠い。けど、気の早いやつらは、もう動き出してる。
たとえば草とか、風とか、空の色とか──ついでに、私も。


「まだ寒いのに…」とぶつぶつ言いながら、
それでもやっぱり、春の入口に立てたことがうれしかった朝だった。

季節は、ただ静かに巡っていく。
その流れの中で、また少し、わたしも動いていけたらと思います。
それでは、また次の季節でお会いしましょう。

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立春