

寒露|10月8日
冷たい空気のなかに、秋の透明な光が宿る頃


撮影日 10月8日、寒露翌日。
撮影は寒露翌日の、10月9日の朝になりました。
一日遅れのフィールドワーク。
前日まで私用で地元に帰っており、名古屋に戻ってきたばかりで、少し眠たげな空を見上げながらの出発でした。
西の空には、三日前に中秋の名月、二日目におひつじ座満月を迎えた月がまだ存在感を放っていました。
わずかに欠けた月が、青みがかった朝の空に静かに浮かんでいます。
その光を見ていると、つい昨日までの満ちた時間が少しずつ遠ざかり、季節がゆっくりと次の景色へと移っていくのを感じました。

田んぼの稲は、もうほとんどが実りきっています。
重たげに垂れた稲穂が風に揺れているのを見ていると、自然と「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉が浮かびます。
風はやや強く、肌に当たると少し冷たさを感じます。
けれどその冷たさが、秋らしい澄んだ空気を運んでくれるようで、
深呼吸をしたくなる瞬間がいくつもありました。
見渡すかぎり、黄金色の穂波が実りを喜んでいるようにも見えて
大地そのものが呼吸しているようにも見えます。
耳を澄ますと、虫の声はまだ残っていますが、
その響きはどこか控えめで、
夏の賑やかさが遠い記憶になりつつあることを知らせてくれます。
次に訪れる頃には、この稲もすべて刈り取られているでしょう。
新米を口にする人も、きっと増えていく頃ですね。
黄金色の田んぼが、静かにその役目を終えていく。
そんな光景のなかにも、季節の歩みを感じます。



今年も残り三ヶ月。
「もう三ヶ月しかない」と思うより、
「この三ヶ月で何を感じ、どう過ごそうか」と考えてみる。
そんな過ごし方にこそ豊かさが生まれてくると思っています。
今日の空は、太陽こそ見えなかったものの、
雲の流れが早く、筆で描いたような模様がとても印象的でした。
その動きをただ見ているだけで、
心の中のざわめきが少しずつ静まっていくような気がします。
季節は、ただ静かに巡っていく。
その流れの中で、また少し、わたしも動いていけたらと思います。
それでは、また次の季節でお会いしましょう。




