小満|5月21日

夜明けに響く、いのちの声

撮影日2025年5月21日、小満。
田んぼに水が引かれ、あたりはすっかり夏の装いへと向かい始めました。
近くの用水路から張られた水が空を映し、苗のあいだからは蛙の声が響き渡る。

何百匹もいるのか、あるいは数匹で合唱しているのか──そんな錯覚を覚えるほどの賑やかさ。
わたしみたいな余裕がない人によっては「うるさい」と感じるほどの鳴き声も、この時期ならではの風物詩。

今朝、目覚めると部屋の空気はどこか蒸し暑く、肌にまとわりつくような湿気があった。
外に出ると少し涼しさも感じましたが、気温は明らかに2週間前とは異なり、もう半袖で過ごしてもおかしくない陽気に。

ただ私は、長袖のシャツを着ていました。
というのも、この時期もうひとつの風物詩、私の天敵──蚊がすでに活動を始めていたからです。

撮影地に着く頃、空はまだ明けきらず、あたりは薄暗いまま。ツツジが咲いていたあたりはすでに花も終わり、地面の羊(しべ)も風にさらわれ、花の気配さえ消えていました。
市街地ではまだ満開のツツジを見かけることもあるので、地域差や日当たりの違いがこうしたズレを生むのかもしれません。

ここは南向きに田んぼが大きく開けている場所。
太陽の恵みをよく受けるからか、苗の育ちも早いように感じます。

空にはうっすらと薄雲が広がり、その合間に見える月が印象的でした。
この時期の月は“走り梅雨”の雰囲気を運んでくるような気がして、どこか落ち着かない美しさがあります。

空を見上げれば、蝙蝠が数匹、頭上を音もなく飛び交っています。
彼らは夜行性で、超音波を使って飛んでいるとされますが、何をしているのかは私にはわかりません。

餌を探しているのか、パートナーを探しているのか、それともただ夜の空気を遊泳しているのか──妙な軌道で空を舞う姿に、何かを託したくなるような、そんな朝のひとときです。

やがて空が白み、雀やカラスの声が聞こえ始めます。
人間の営みも動き出し、車の通過音が遠くに響く頃、蛙たちの声は静かになっていました。

もしかすると、彼らも天敵である鳥の動きを察しているのかもしれません。
夜に声を張り上げ、恋を探していた蛙たち
──最後まで鳴いていた一匹は、パートナーを見つけられなかったのでしょうか。

明るくなってもなお鳴き続けるその声は、まるで一晩中キャッチに失敗したホストが、街角で愚痴っているかのような、そんな切なさを帯びていました。

小満は、あらゆる命が音を立てて動き出す、初夏の入口。

そのなかに、鳴き声、湿度、肌の感触、月の色──さまざまな形で季節の鼓動があらわれてくるのです。

季節は、ただ静かに巡っていく。
その流れの中で、また少し、わたしも動いていけたらと思います。
それでは、また次の季節でお会いしましょう。

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小満