

芒種|6月5日
鏡の田んぼに映る季節


撮影日2025年6月5日、芒種。
朝4時5分。
まだ眠気の残る体を、なんとか起こして支度をする。
ベランダから南の空を確認すると、まだ暗くてひと安心──と思いきや、
玄関を出た北側からはすでに西の空がオレンジ色に染まり始めていて、少し焦る。
今日も自転車で5分、田んぼのあるいつもの場所へ。
空は快晴。真っ青に澄み渡っていて、昼間の暑さを思わせるけれど、
朝の空気にはまだひんやりとした心地よさが残っている。
田んぼの中には、サギと思しき2羽の鳥がすでに姿を見せていた。
くちばしを水に差し込みながら、少しずつ移動して何かをついばんでいる。
私の存在に一瞬だけ警戒したようにも見えたけれど、
写真を撮っているだけと分かったのか、またすぐにいつものルーティンに戻っていった。

前回の小満から続いて、田んぼにはカエルたちの鳴き声が絶えない。
まるで何十匹もいるかのような賑やかさだけれど、実は数匹が一心不乱に鳴いているだけなのかもしれない。
あの独特な音の密度は、やはり不思議だ。私が近づくと、むしろ音量が増す気さえする。
今日もその鳴き声が辺り一帯に響いていて、正直かなり……うるさくて不快に感じる(ごめんね)
でも、肝心の姿は見えない。音だけが空間を満たしている。
あの小さな身体で、どうしてこんなに大きな声が出せるのだろう。不思議でならない。
そんなに警戒しなくても、私は君たちを食べないよ。
でも、きっと昔の人たちはカエルを食べていた可能性が高いから
彼らの本能が「人間は危ない」と覚えているのも、無理はないのかもしれない。
さて、今日いちばんの報告は──
2週間前にはまだ姿のなかった稲が、ついに田植えされていたということ。
この田んぼを見続けてきて、いちばん美しい光景に出会えた気がする。
水を張った田面(たづら)には、空も、まわりの風景も、人工物までもが映し出されていて、まるで鏡のよう。
風のない今朝は特に、水面に映る景色がはっきりと見えて、目に入るすべてが「二倍」になったようだった。



いつものこの場所からは、もう太陽そのものは見えない時期に入ったけれど、
ここから先は、この小さな稲がすくすくと伸び、稲穂となって揺れる姿を見届けていきたい。
昨今の米不足も、こうした田んぼたちの力で少しでも補われればと願うばかり。
そして次は、いよいよ夏至。
冬至から数えてちょうど折り返し地点となる。
この半年で撮ってきた写真や記録を、誰かが見て、季節の移ろいを感じてくれていたら嬉しい。
夏至へ向かって、陽のエネルギーが極まっていくこの時期。
あらゆる命が、生き生きと輝いているように感じる。
そうそう、鳥たちは稲を踏まずにうまく歩いているようで、それもまた不思議。(あとで調べたら稲を踏み荒らして問題になっている地域もあるとか)
季節は、ただ静かに巡っていく。
その流れの中で、また少し、わたしも動いていけたらと思います。
それでは、また次の季節でお会いしましょう。




