春分|3月20日

夜明けのスピード、人生のグラデーション

撮影日2025年3月20日、春分。
1年のちょうど真ん中、昼と夜の長さがほぼ同じになる頃。
寒さはかなり和らいで、服装も少しずつ軽くなってきた。防寒パンツは、もう必要ないくらい。

この撮影を始めてから、もっとも天気に恵まれた朝。
雲ひとつない空が広がり、これは美しい日の出が見られそうだと胸が高鳴る。

朝5時20分、自宅を出発。5分後には撮影ポイントに到着。
東の空はすでにオレンジ色に染まりはじめている。
南の空には、もうすぐ半月になる頃の月が浮かんでいた。

空気はまだ冬の名残を感じさせるけれど、どこか張りつめた冷たさは薄れてきた。

「暑さ寒さも彼岸まで」(前回も使ったこの言葉。わたしこの言葉好きなので今後も多用します)とは、まさにこのこと。
昼間の寒さは、ここからどんどん和らいでいくだろう。


太陽の出る位置も、冬至の頃と比べてかなり東に寄ってきている。
これから夏至にかけて、さらに東へと動いていくはずだ。

その分、撮影時間との勝負にもなってくる。
夏至の頃には、今よりも1時間以上早く起きなければならないかもしれない。

手は相変わらず冷たく、撮影中の指先は悴む。

でも、じっとファインダーをのぞいていると、田んぼに少しずつ命が吹き込まれていくような気がしてくる。
先日、「穀雨」の頃に一度掘り返された土は、再び整えられ、春の準備が着々と進んでいる。

そして、気づいたことがある。
夜明けは、思っているよりもずっと速い。


東の空がほんの少し明るくなったと思ったら、もう数十分後にはすっかり空は青みを帯び、闇は跡形もなく消えてしまう。

星が消え、月だけが残り、空はオレンジから淡いブルーへと滑らかにグラデーションしていく。

このグラデーションより美しいものを、私はまだ知らない。


人生も、もしかするとこれと似ているのかもしれない。
暗闇の中にいるときは、いつまでも続くように思えるけれど、

夜が明けるときは、一瞬だ。

一度光が射し込めば、さっきまでの闇がどんなだったかさえ、忘れてしまうほど明るい世界が広がっていく。

季節は、ただ静かに巡っていく。
その流れの中で、また少し、わたしも動いていけたらと思います。
それでは、また次の季節でお会いしましょう。

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春分